けっきょくなにもしない

おじさんのひび

330円のいざない その3 愛の世代の前に/浜田省吾

330円のいざない その3

 

配信で音楽を聴くのが普通になっていますが、単曲よりアルバムが好き。

あと手元に「もの」として持っていたい。

 

今回はその第3弾。ハマショーこと浜田省吾

 

まさにロックンローラー浜田省吾さん!

広島県生まれ。父親が原爆翌日に広島に入ったことから被爆。彼は被爆二世だそうです。

20回以上の引っ越しを経験し、孤独で、音楽と漫画に夢中だった少年時代でした。

 

ビートルズに衝撃を受け、音楽に熱中。また学生運動にも参加。

若さゆえのフラストレーションや、コンプレックスを多く抱えていたのでしょうか。

 

1976年にソロデビューをし、なかなか売れず、音楽的にも紆余曲折していたそうです。

しかし、1980年代に入り、ロック色を前面に出していき、人気が徐々に上がっていきます。

テレビにはめったに出ず、たまに音楽雑誌に出るくらいで。レコードとライブのみで、徐々にファンに支持されていきます。

 

たしかに、ハマショーを始めて聞いたときは「誰?」と思いました。

全く見たことがなかったので。

 

愛や恋から政治的な思想から、アメリカ中心のロックを日本語に昇華させた一人と言えるでしょう。

 

1982年に決まった日本武道館コンサート。

その武道館に向けて制作されたこのアルバムが今回のアルバムです。

 

愛の世代の前に

彼のアルバムの中で初の大ヒット。最高位12位。

アルバムのテーマとしては「反核」だそうですが、それをうまく日本語と軽やかなロックで表現しています。そしてあの大ヒットナンバーの原曲も収録!

そのタイトル曲。マイナーロックチューン。

原爆のことをうたっています。ただ反核というより、その先にある「愛の世代」を夢見る曲ですね。今も聴くと、結構刺さるなあ。

 

モダンガール

古き良きアメリカンロックバラードのような曲。

わたし結構好きです。かれの特徴ある「こぶし」がいいです。

 

独立記念日

教科書問題も歌詞の中に出てくる、まさにハマショー節。

守るべきものは誰?戦うのは誰?

戦争の描写がありますが、どちらかというと、学校教育に不満・疑問を持つ青春時代の彼の気持ちを書いているのでしょう。

このころ80年代の狂乱の時代、ちょうど学生だった私にはよく「わかる」曲です。

そうかれは、高校生前後の、大人になり切れない、でも子供じゃない世代の気持ちをきれいに切り取りますね。

 

センチメンタル クリスマス

これまたふり幅すごいですが、クリスマスソング。

しかもセンチメンタル。

この曲、ちょっと謎でした。

1番は恋人と一緒なんですが、2番は一人酔いつぶれて、世界の人たちの幸せを祈っています。

 

このアルバム発売後、彼はベトナム戦争のクリスマス休戦を知って、1年中クリスマスならいいのに、せめて今年のクリスマスは恋人と聴いてほしい、と作った曲だとか。

 

なるほど。しみますね。

 

悲しみは雪のように

説明不要ですね。日本のロック史上に残る大名曲。

 

1992年「愛という名のもとに」というフジテレビの大人気ドラマ(最高視聴率30%超)の主題歌としてブレイクをする曲ですが、このアルバムにはそのオリジナルバージョンが収録をされています。

 

オリジナルバージョンは、演奏が結構かわいらしい、ポップな感じです。

ドラマの主題歌を依頼されたハマショーが、この曲しかないと再録をしたとか。

 

タイアップをしないハマショーでしたが、なんども説得され受けたとのことですが、このドラマの中ではたくさんのハマショーの曲が流れ、90年代に入ってハマショーはもう一段階ブレイクをしました。

かれにとっても最大のヒット曲となりました。このバージョンも結構好きです。

 

防波堤の上

アルバム最後の曲。

武道館コンサートを目指して作ったのに、最後の曲がこれ。

コンサートでは絶対やらない曲だということですが。。。

そうでしょう。

 

すべてにやる気をなくし、あてどなく車で走り、荒れ狂う海の波に打ち付けられる防波堤の上。風に押されてもいいや、海に落ちてもいいや、という感じ。

 

何があったのでしょう。この「愛の世代の前に」というアルバムの最後に持ってきた意味。そして、「センチメンタルクリスマス」「悲しみは雪のように」の流れ。

 

こういうのがアルバムの醍醐味ですね。

 

けっきょく、聴き終わった後の余韻が残るアルバムは大好き。