あの未知の病気の続き。
前回は、原因不明の病気に、まだ一般的ではなかった解剖に自らの体を差し出した杉山なかさんの話でした。
2人の医師
杉山さんの解剖(1897年)にたちあい、その後見つけた虫の卵を研究していた三神医師と、別の寄生虫研究を行っていた桂田医師は、この病気の討論会で意気投合。
卵の形の特徴から、アフリカで発見された寄生虫に似ていることはわかった。また、卵は便からでるが成虫が出てこないため、成虫は消化器官にはいないということを想定していました。
姫というネコからついに
そして1904年、三神医師が飼っていたネコ(姫)が同様の症状になっていたことから、この猫を解剖、あまり時間がなかったためアルコール漬けにし、1か月後に調査をすると成虫の死骸を発見。
すぐに違うネコを解剖し、ついに肝臓の血管から生きている成虫を発見しました。
オス、メス、そして雄雌結合の3種類、新種であること、そしてその虫の卵巣にある卵が杉山さんの体にあった卵が同一であることを発見しました。
ついに、病気の原因である寄生虫を発見した瞬間でした。
日本住血吸虫と名付けられました。
三神医師の病院は今も健在です。
日本住血吸虫と名付けられました。
寄生の流れ
その後分かったのは、成虫(1~2cm程度)は赤血球を栄養源とし、肝臓に寄生。血管に産卵するが、卵はたんぱく質を分解する酵素を出すため、腸を破り便と一緒に外に出たり、血管を破って肝硬変を起こすということだ。
それまでの消化器官に寄生する寄生虫とは全く違うものということで、かなりの衝撃だったでしょう。
しかし、この虫がどうやって体に入るのかが不明のままでした。
おそろしい。寄生虫としてはすごい大きいし、血管内となるとみつけることはかなり難しい。まだまだこの病気との戦いは続きます!
けっきょく、ちいさな生き物でも恐ろしいものはある。