未知の病気との戦い。
前回はついに感染経路がわかったものの、より困難な道のりになってしまったところまででした。
寄生虫の研究
皮膚からの寄生となると防ぎようがないことから、この虫の生態を調べるしかなくなってしまいました。
卵から孵化をさせて、その幼虫のいる水にネコや犬の足をつける、という実験を行いました。
しかし、まったく寄生をせず、それどころか幼虫はすべて死んでしまいました。
中間宿主
これらから、この虫は卵からかえった後に何かに寄生し、その後動物に寄生するのでは、つまり中間宿主がいるのでは、という推測がされました。
実験のため、違う地域からたくさんの動物を連れ、病原地の川に入れ、直後の血液中を調べると、卵からかえったばかりの幼虫とは全く違う形の幼虫を発見することができました。
このことから、この虫には中間宿主が必要であることがわかりました。
犯人はどれだ?
こうなると、病原地の水中にたくさん生息して、それほど遠くにいかない生物が中間宿主となります。
さまざまな生き物に、幼虫が寄生するかを実験していきます。
そして見つかったのは、同じ病気が発生していた佐賀県のある溝。そこに入ると確実に感染するという有毒溝渠(!!)にいた小さな巻貝でした。
その小さな巻貝と幼虫を一緒にすると、貝の体内に入り、変態し、ついにあの動物に寄生をした形で貝から出てくるのを発見したのです。
この貝は、全くの新種で、この貝を発見した宮入博士は山梨を訪れ、同じ貝が病原地に多数生息していることを確認しました。この貝はそれから「ミヤイリガイ」と呼ばれるようになりました。
この左端の小さい貝がミヤイリガイです。すごい小さい貝で石粒のようです。
その後の数々の発見
この発見はとても大きいもので、世界中の同様の病気も同じような淡水貝が中間宿主であることがわかりました。これにより、軟体動物が宿主になりやすい、という傾向を見つけることができました。
宿主を倒す
目に見えない小さな寄生虫を倒すのは難しく、感染した後も血管中なので難しい。しかし、この中間宿主がいなくなれば、この寄生虫は寄生をするための成長ができなくなるため、感染が収まることになります。
ここからこの病気との戦いは、この貝との戦いになっていきました。
今回はここまで。
けっきょく、ひとつずつ、着実に!