むかーし、というかもう学生のころ一度読んだが、正直あまり印象にはなかった。
最近昼飯を食べながら本を読むようになり、昔のいわゆる名作も読むか、と手に取りました。
感想は、
ひどい話だ
というもの。
ひどい、というのはもちろん悪い話ということではなく、なにか身につまされるような話。
正直、わたしも人付き合いは下手で、なにか取り繕ってしまうことがおおい。
主人公はそれがまた輪をかけて自己防衛というか、自分を「道化」の役割として人との間に、それこそ「ATフィールド」を持ってしまっています。
そして、生きる意味、生きる価値、というものをいつまでも見いだせず、流れのまま生きていたら、逆の流れが起きたときに、あっさりあきらめてしまう感じが、なんか自分にも近い経験があるようで、つらくなります。
そういういみで、ひどい話。読み終わったときの、自分の過去の後悔するような経験がよみがえってしまいます。
この小説の発表直前に、作者の太宰治は自ら死を選んでしまいました。
短い時間で突発的に書いた「遺書」的な作品ともいわれましたが、近年かなり前から準備をしていたことがわかり、集大成として書いたものとも思われます。
作者自身の過去と近い話であるため、自叙伝のような話。償いのような話でした。
けっきょく、人はだれしも暗い部分を持つので、他人に聖人君子を求めてはいけない。
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