わかいころに死ぬほど聴いたアルバム
その4。
1991年?に発売された4枚組のライブアルバム。
Jimi Hendrix
いわずと知れたギターの神様。
何がどうすごいのか、説明するのも難しい。
というくらい、いまの時代でも衝撃的な刺激的な音をギターで奏でることができる人。
うまい、というのはそうなのだが、
ギターがまるで生きているように聴こえる。
1960年代後半から1970年にかけてという時代に、一気にエレキギターの可能性を押し上げた、という意義は大きい。
STAGES
1967年から1970年まで、1年ごとのライブ音源をまとめている。
Jimi Hendrixのライブ音源は公式からブートレッグまで数多く出されている。
このCDの音源も、他の形で聴くこともできる。
が、やはりこの4枚の流れで聴くのが重要なのかもしれない。
67
1967年9月5日 ストックホルムでのライブ。デビュー間もないが、すでに音楽業界に衝撃を与えていたJimiの、テレビ局でのライブ。
正直この4枚の音源の中でいちばんいい。
スタジオということだけあって楽器の音がクリアだし、Jimiも落ち着いて演奏をしているように思う。
ギターに火をつけてしまうようなJimiにしては少しおとなしめの音に聴こえるが、
音楽的にはもう完成されている。
ビートルズのSgt.Pepper's ・・・からスタート。この演奏の完成度が高い。私はすごい好きなテイク。このSgt.Pepper'sはビートルズの曲だが、発売2日後にPaul McCartneyが来たライブの1曲目に演奏し、大いに喜ばせたとか。
この中ではThe Wind Cries MaryやBurning of The Midnight Lampのような聞かせる曲が秀逸です。両曲ともこの当時では衝撃的なイントロではないだろうか。
Jimi節です。
これは代表曲のPurple Haze。
68
1968年1月29日 パリ。
The Animalsとのダブルヘッドライナーのライブ。リラックスしながらも激しさを増すJimiである。
このテイクでは、1曲目のKillin' Floorの火を噴くようなストレートなギターと、Red House、Little Wingのような聴かせるテクニカルなギターが素晴らしい。しっとりとはじまるが、じょじょにギターが叫び始める名曲。
Jimiがギターだけでなく、音楽的にも革命児だなぁと思う。。
69
1969年5月24日サンディエゴ。脂がのりにのっている絶頂期ですかね。
この4枚の中では一番疾走感があり、派手である。
この年の9月には有名なウッドストックがあった。アメリカにとってもロックの絶頂期だったのかもしれない。
Fireの疾走感がすごい!Fireは4枚とも入っているが、一番すごいね。
ギターも自由自在にうなりまくり。
いまの最新のロックにも引けを取らない!
そして最後のVoodooo Child(Slight Return)。
Jimiの真骨頂。
数多くのギタリストがカバーをしていますが、このテイクを聴くとJimiが一番すごいと思ってしまう!
70
アトランタは南東部に位置して、南北戦争では南に属していたが、戦後は公民権運動の中心の一つになった。そういった意味だとJimiにとっては意義のある土地だったのかもしれない。
ただ、盟友であったベーシストのNoel Reddingとの関係が悪化し脱退。
Billy Coxが加入した後のライブ。
大きな変革期の時だったと思う。
曲も今までの曲に加え、Lover ManやRoom Full of Mirrorsなど、サイケデリックで複雑な曲がある。音楽的に凝り始めたのか、薬物による影響か。
かなり精神世界がゆがんできているように思う。
その中、アメリカ国家Star Spangled Bannerの演奏。
前年のウッドストックで有名になった爆撃機の音のような、叫び声のようなギター。
反戦の意味もあるが、Jimiの頭の中にある大きな怪物がギターから噴き出している。
この2か月後の9月18日、彼は27歳、デビュー4年で天国に召されるのである。
聴き終わって
4枚を順々に聴くと、彼の成長と、ある意味破滅への道筋が見えてくる。
彼はロックだけでなく、すべての音楽に大きな爆弾を埋め込み、爆発させ、自らも消えてしまった、というくらいの、衝撃を与えたと思う。
その爆発がすごすぎて、理解されなかった面も多かったと思う。
でも、いまでも彼のギターは衝撃的で、いまでもたくさんのミュージシャンに影響を与えている。流行に大きく影響されるロック・ポップスにとって、ほとんどいない、まさに伝説だと思う。
けっきょく、彼のギターはただの楽器ではないなぁ、と思う。