けっきょくなにもしない

おじさんのひび

むかしのにっきを書き写す 1996年四国一人旅 その6 四万十川河口

ここから書くのは昔の日記を書いた手帳を見つけたので、それをデジタルに残そうと思い書きます。

 

前書き

この日記は大学生最後の春休み。

友達は海外などに卒業旅行に行くのに、私はバイクでテントや寝袋を積んで、四国一周旅行へ旅立ちます。

前回はどうしても行きたかった四万十川の源流で大変な目にあった。4泊目。

 

na2ro.com

今回は四万十川を下り河口へ向かいます。

🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍

1996年3月2日土曜日 晴れ 風あり 少し寒い

6:30に起きる。また4:00ごろ寒くて起きたが、なんだかゆっくり寝た気がする。

空は雲が半分ほど占めている。

パン、コーヒー、お吸い物を食べ、出発は8:30。

なんだかこの時間はパターン化してきた。



岩間沈下橋

441号線を走る。二車線と一車線が断続してある。

四万十川はゆったりと、そして徐々に太く深くなっていく。

岩間という集落で沈下橋を見つけ写真を撮る。

佐田の沈下橋

そしてあっという間に中村市に入る。

川登というところで、国道は山間に入るため、四万十川沿いの県道を走る。

狭いが昨日の源流にくらべれば楽なものだ。

石だらけの河原が少し土色になってゆく。

佐田という集落に着く。

ここでは四万十川最後にして最大の沈下橋がある。

ここでタイマー撮影に挑戦する。

 

①撮影ポイントを決めタイマーをセット。

②バイクにダッシュ

③またがり沈下橋へ走る

④映る

撮れているかどうかは不明!現像でのお楽しみ!

※で、撮れた写真がこれ。



河口へ

11:00ごろ中村市内。ここから河口へと向かう。

あと7kmほど。

 

後川と中筋川という2つの川を四万十川は飲み込んで、かなり太い川筋になる。

あとちょっと。

 

見えた!海だ!

呆然とした。

海は簡単に四万十川を飲み込んでいる。

あれだけ俺が苦労をして降りてきた川を、あれだけ威厳のある川を、何事もなかったように吸い取っている。

四万十川は海にとってはわずかな水滴に過ぎない。

海はすごい、と思った。

しかし、うれしい!

日本最後の清流を源流から河口まで見届けた。

150kmぐらい俺は走った。

あの雪の降る険しい山から四万十川のほとりでひっそりと暮らす村落の数々を経て、ついに海に来た。

うれしい。うれしい。来てよかった。

と、痛烈に感じた。

※確か河口にいた犬。首輪はしているけど自由に歩き回る。ほんとこの時の四国ではこういう犬によく会った。

 

河口の展望台

河口から東を見ると展望台らしきものが高台にある。

早速行ってみた。

※たぶんここ

 

眺めはまあまあ。

海が非常にきれいだ。ただ四万十川の水が流れてきれいなのではないと思う。

海がそれ自身が美しいのである。

 

展望台の近くに10人ほどしか入れない食堂の外でコーヒーを買い一服。

すると店のおじさんが、

「寒いやろ、中入り。」と入れてくれた。

客は一人。顔なじみらしい。

「どこから来たん?」

「これからどこいくね」から始まり、

足摺岬宿毛に行く」というと、

「あの辺は何かあったかな?」と客とおっちゃんは考えはじめた。

俺が地図を出すと、二人は

「ここの道はええで。」

「こっちはあかん」とか、

「ここはきれいや」

「ここは好きや」と、いろいろ教えてくれた。

 

要約すると、

「足摺スカイライン」以外は道であって道でなく、

「竜串」はよい、

「貝残し」は船でしか見れず、

キャンプ場は多く、

「大堂海岸」はおすすめ、

ということだった。

 

話をしていると腹が減り、ラーメンを食べ、礼を言って店を出る。

 

ジージャン褒められる

中村でペットボトルのお茶を買った。

そこで、後ろから突然若いおねえちゃんが、

「うわー!これ見せて!」と俺のジージャンに付けてあるタイの刺繡を見ている。

※まだ持ってます!

あれこれ質問され、この刺繡は自分でつけたというと、

「まめやなぁ、奥さんは幸せやわ」だって。

どうでしょう?どうですか?

 

足摺岬

足摺岬を望む

足摺岬途中の大岐海岸

 

足摺スカイラインはかなりきつい。

眺めもあまりよくないが、

たまにパッとひらける。その風景は素晴らしい。

 

足摺の海はこれまたびっくりするほどきれいだ。

 

時間が!

さんざん見て回り、お茶を飲んでいると、いま何時か気になった。

時計を見てびっくり!

16時!行こうと思っていた宿毛まで60kmある。まだ竜串も見ていない。

どうしよう。

とにかく出発。30分もしないうちに竜串には着く。

寒い。

キャンプ場の看板が見えた。仕方ない。ここにしよう。

※どこのキャンプ場か不明。

カレーを食べて床につく。

 

まいった。明日はかなりある。200kmというとこか。

見るところは海底館、竜串海岸、大堂海岸、宇和島の闘牛、そして佐多岬

やべー、いけるか心配。

ダメなら民宿だな。

キャンプ場は開いている(と思う)のが2つしかない。

さてさて。

不安を抱きながら明日も走りまくろう!

🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍🏍

あとがき

このころは割とのんびり走るのですが、距離も走りたい、という感じで、けっこう厳しい旅程でした。

まぁずらしてもいいのですが、帰りのフェリーも取っているので、それは守らなくてはならない。毎日出ているフェリーでもないし。

この日入れてもらった展望台の食堂は今でも覚えている。

ポツンと立っている、食堂というか、休憩所のような小さいお店。

でも、ご主人もお客さんも優しかったな。

ラーメン頼んだら、「べつにいいぞ。そういうつもりじゃなかったんだから。」と言ってくれた。本当に腹が減ったし、暖かいラーメンが異常にうまかった。

お二人とも元気かな。

 

さぁ、次は四国の西側。高知県から愛媛県へ。

 

けっきょく、人との思い出はきえない。