お題「やっぱりプロはすごいなと思ったファンサは?」
私がすごいなぁ、と思ったファンサは、プロレスラーの棚橋弘至さんでした。
ちょっと長いですが書きたいと思います。
私プロレスが好きです。
子供のころはブームで、友達と話すためにみていたけど、そのときはあまりのめりこまず、いつのまにかみなくなった。その後見はじめたのは、たまたま夜更かしをしていたときにみた1990年からです。
プロレス
最近人気にはなっているとはいえ、正直まだまだマイナーなプロレス。
でもプロレスって私は最強のエンタメだと思います。
そうプロレスはエンターテインメントです。演劇に近い。
というと、八百長だとかいわれますが、ファンからすると「?なんでそういうの?」と思います。いい例えではないかもしれませんが、ゴジラとかみて「こんなこと科学的にありえないじゃん」というのとおなじ感じです。また、いい役者の演技は、もう演技ではなく、その人(役)にしかみえないと思いますが、それも近い。
プロレスラーは、生で、セリフなしで、ある程度は即興で、レフリー含めて3人だけで、何千人何万人を興奮させて、またチケットを買って来たい、と思わせなければならない。これってすごいことですよね。
下手な「試合」を見せては、もうお客さんは来ない。
すごいプロレスラーは、強いだけでなく、お客さんに感情移入させて、喜怒哀楽を、試合の中で表現できる人であり、試合に魅力的なストーリーを作り上げることができる人ですね。
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暗黒期
しかし、このプロレスの魅力が完全に時代から取り残された2000年以降、まさに暗黒期。総合格闘技など「ガチのつぶしあい」がはやる中、特に新日本プロレスは、客は入らない、試合は盛り上がらない、選手は離脱する、という負のスパイラルに落ちていました。。。最悪でしたね。
そんな時代に棚橋弘至選手が新日本プロレスを救うべく、一人で戦いはじめたのでした。
棚橋選手が何をしたのか、詳しくはこの本に書かれていますが、ビジネス書としてもとてもいい本だと思います。
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彼は新聞記者も目指していたということもあり、とても論理的に説明をしており、わかりやすいです。この本で私が印象に残ったのは下記の点です。
知ってもらう
上に書いた通り、プロレスは感情移入してもらうことが大事。知らない選手が、わかりづらい対立構造で試合をしても、盛り上がらない。
そこで彼は宣伝という面ももちろんあるのですが、まず知ってもらうために、休みを返上して、自分で全国を回り、ノーギャラでもテレビやラジオ、新聞、雑誌などにでまくった。プロレスを知ってもらう前にまず
棚橋弘至をしってもらう。そうすることで、プロレスラーというより、
棚橋弘至という人間を知ってもらえる。その人がでるプロレスに興味を持ってもらう、という流れを作ろうとした。
とはいえ、1回でたくらいでは効果はでない。とにかく出まくったとのこと。
地方を大事にする
都会の大会場はファンもそれなりにいるし、テレビ中継などもあり、情報も早い。でも地方はテレビもないし、プロレス雑誌でも大きくは取り上げられない。なので、地方で「手を抜く」選手や、大会も多かったそうで。
しかし棚橋選手は、地方こそ大事にしよう。1年に1回しかあえない場所もある。それを楽しみに見に来た人が、また来よう、来年は友達も誘おう、と思ってもらわないと、プロレスの未来がない、と考えた。地方でも全力で試合をし、ファンサービスをしたのでした。
見に行った人には徹底したファンサ
このころ、実際に試合を見に行ったとき、棚橋選手のファンサービスはすごかった。まずコーナーにたってポーズを決めるのですが、ファンが写真を撮りやすいように各方向に向いて、しばらく止まってくれる。しっかりと写真がとれる。
こうした写真は
SNSにアップされ、見に行っていない人も見れる。そのうち1人でも興味を持ってもらえれば成功、ということですね。
派手な衣装、染めた髪、バキバキの体(さいきんちょっとぽっちゃりですが(笑))は、お客さんに「魅せる」ためにやっていたこと。暗黒期には意外とこういう選手は少なかったです。
そして、トップ選手になっていくと大体最後の試合をやっていましたが、終わった後はお客さんと一緒に締めの言葉を絶叫し、リングサイドをめぐり、握手や写真、サインなど、長いと数十分にわたっておこなってくれました。これも「
棚橋弘至」という人をしってもらうために必要なことだったのでしょう。
その後
こうした棚橋選手の活動は、いろんなバッシングを受けながらも継続され、ほかのレスラーにも徐々に波及をしていきます。
売上もあがっていき最低のころから5倍以上を記録、
アメリカのプロレス雑誌で企画された2010年代の最優秀レスラーの受賞など、
実績もついていきました。
現在、
新日本プロレスはカードゲームなどを行っている
ブシロード傘下になっていますが、買収後にまず全国に販売促進活動をしていくためにメディアとのつながりをつくるという難しい課題があったが、すでに棚橋選手がそうしたつながりをもっていたことに社長の木谷さんは驚いたそうです。
やっぱりないちゃう
こうした暗黒期の苦労を知っている私は、いまでも棚橋選手の試合をみると泣いちゃうときがあります。彼が苦しんでいる姿、なにくそと立ち上がる姿、勝っても負けても応援してしまう。やはりプロレスは最高のエンタメですね。