愛川町のあたりでは、その昔、農家の副業として箒(ほうき)が作られていました。
まわりの人からお金をもらって、箒に適した作物を使って、制作をしていました。
箒の専業のお店も、最盛期には100軒以上あったそうですが、安い製品が増え、掃除機も普及したので、せいぜい自家用の箒を作るくらいになったそうです。
その箒の伝統を伝えるところが愛川にあるということで、ちょっと興味があったので行ってみました。

100年以上たった蔵を改装して、1階は箒博物館、2階は「中津箒」という名前で制作されている
この会社の代表の実家は、5代も続く箒の製造・卸をやっていたそうです。
父親の代で廃業したのですが、暖簾分けした京都の職人が制作した箒の美しさに心を打たれ復活させたのだそうです。

まず1階には世界の箒が並んでいます。
案内していただいた方からは、「畳ではなく板張りだったり土の床が多いので、日本のものに比べて粗い作りが多い」とのこと。
確かに「目地」というのはあまりないかもしれませんね。
ただ、色を入れるのはやはりおしゃれを入れたいという、人間の本能でしょうか。
2階に行くと中津箒です。

小さいものから大きいもの、柄もいろいろな気を使っています。
ここで面白いのは箒に使っている材料です。
ほうきもろこしという材料を使っています。
わたし初めて知りました。
見た目はトウモロコシなのですが、穂先が細くて、でもしなやかで、強くて、床や畳を傷つけないがごみは絡めとるという、まさに箒のための作物。

制作中のもの。
穂先がわかりますかね。
かなり細いです。そして実のようなものが付いています。
「これは取れないんですか?」
と聞くと、あっさり、
「取れません」
のお答え。マジか?
たしかにちょっと指でつまんでも、しっかりついています。
こういったところでもごみを絡めとるとのこと。
また結構強く床に押し付けても、ちょうど良い手ごたえで曲がりますが、力を抜くとすっと元の形に戻ります。この強い弾力性が特徴ですね。


なんということでしょうか、この美しさ。
編み方や、ヘッド(と言っていいかわかりませんが)の部分の形のバリエーション。
もちろん、ものすごい丈夫に編まれています。
作った直後よりも、少し経つとより硬く、しっかりするそうです。
かなり高額なものもありますが、やはりそれ相応の職人芸が詰まっていますね。
作り手の育成も力を入れていて、若い職人さんが増えているそうです。
そのため、伝統にプラス若い息吹が入っていますね。
この左右非対称のデザインはすごいですね。
伝統的な作りでもあるようですが、このセンスは素晴らしいと思います。

箒を縛る紐も様々なもので染色をしていますね。
残念ながら亡くなってしまったということでしたが、京都にのれん分けをした職人さんの作品も飾られていました。こちらは非売品になります。



とても繊細で、美しく、自然ですね。
こんなにも細かい仕事ができるんですね。
わたしは不器用なので何年やっても、足元にも及ばないだろうな。。。
この団体では、ワークショップも行っておりますので、一度参加してみようかな。
子供でもできるものもあるということなので。。。
時代によってなくなったものは、いろいろとありますが、やはり残したいという意思や歴史がありますね。
とにかく、この箒の美しさには驚きました。

で、こちらを買ってしまいました。
小さな箒ですが、もちろん使うこともできますし、飾りとしてもいいです。
箒は「吐き出す」「払う」道具であることから、邪気払いや安産祈願の儀式の道具にもなっています。
プレゼントや、玄関に飾るのもいいですね。
けっきょく、日常的な道具は美しい。