けっきょくなにもしない

おじさんのひび

消えゆく個人店とわたしの軽薄

この地域に住み始めたころは、個人の商店がまだいくつかあった。

持ち帰りの焼き鳥屋さん、肉屋さん、ハンコ屋さん、八百屋さん、金物屋さん、本屋さん、居酒屋さん、定食屋さん、そして酒屋さん。

 

しかし、一つずつ閉店をしていく。

代わりに、コンビニができる。更地にされて駐車場になる。

 

活気はなくなっていく。

 

たしかに、働いている身だと、朝はまだ開いていないし、仕事帰りでは閉まっている。

駅前には無料の駐車場があるわけではないので、休みの日に歩いて駅まで買い物に行かない。

大型スーパーや、24時間営業のお店がある。

 

当然人は少ない、売上は落ちるだろう。

 

地元の駅の近くにある酒屋さん。

正直そこで買ったのは数回あるかな、というくらい。

その酒屋さんは、このあたりの古くからある個人店では残り少ないお店でした。

一般のお客さんは近くのコンビニと取り合い、業販先の周辺の飲食店は減っている。

かなり厳しいかなとは思っていました。昨年の冬についに閉店。

最後の1か月は、店内の在庫商品を半額で販売していた。

久しぶりに入り、ビールやら日本酒やらを買った。

 

なんとなく、寂しく残念だなぁ、なんて思ったが、

「半額だから買った」

とも思った。

 

自分は、付き合いや、地域のことを考える方だと思いながら、

結果としては得だから買ったんだな、と思った。

なんか申し訳ない気持ちになった。

 

閉店してから2か月ほどたった先日、店の前を通ると、樽やビールケースや、ワイン箱、販促品のジョッキやグラスなどが店先に並び、「ご自由にお持ちください」と書いてあった。

 

なんか、またここでもらうと、

「やはりわたしは得しか考えない人間だ」という思いが、頭をよぎった。

すると、お店の方がたまたま外に出られ、

「あぁよかったらもっていって。置いていても邪魔なだけだし、捨てるのもねぇ。」

といわれた。

 

「そうですか、じゃあいただきます。」

と販促品の灰皿と、よくわからない(笑)JAの貯金箱をもらった。

タバコは吸わないし、貯金するわけでもないが、言葉に押されていただいた。

 

正直、「そうか、残っても邪魔だから助けてあげよう」とかまで深く考えていない。

声をかけられて、その勢いでもらった、という感じ。

 

でも家に帰って、そのものを見ると、

あのお店がメーカーやJAからこの物をもらったときは、どんな感じだったのだろうか、まだまだ活気もあって、日々忙しかったのだろうか、と思ってしまう。

 

もしそうだったらよかったな、と思う。

楽しかった時、充実した時があれば、よかったな、と思う。

そう思うようにした。

 

けっきょく、個人店がなくなると、その土地の「色」がなくなっていくように感じる。